東福寺龍眠庵墓地指定石材店のオフィス石太郎です。
最近では、お葬式の当日に初七日を済ませて、その後の法事は四十九日まで空いてしまうことが一般的になりつつあります。
寺院によって異なるかも知れませんが、お葬式を済ませた遺族は、ご戒名などが書かれた中陰表(または御逮夜表)をご住職より受け取ります。
そこには、二七日・三七日などの7日毎に行う法事の日程が書かれています。
お葬式に読経をしていただく寺院を葬儀社から紹介していただくケースが増えています。
それが理由なのかもしれませんが、ご葬儀後の法事を継続して行われる方が少なくなっているように感じています。
以前、あるお寺のご住職に初七日の御布施の目安を質問したことがあります。
地域によって異なりますが、京都市内近郊では、おおよそ3万円程度が目安とのことでした。
二七日の御布施の目安は?とお尋ねしたところ、目安は5千円程度だと思うとのことでした。
普通に考えた場合は、初七日の目安が3万円でしたら、二七日以降も3万円と思ってしまうのではないかと思いました。
ご住職ご自身も、いつから初七日の御布施の目安が3万円ということが定着したのかよくわからないと仰っていました。
また、葬儀社から紹介をされた寺院によるご葬儀では、二七日~六七日の法事をされない方が圧倒的に多いように思いますが、変わらず日程が書かれた中陰表をお渡ししています。
初七日~四十九日の法事の意味について、筆者なりに解りやすくまとめてみました。
宗派によって法事の意味は異なりますので、関心をお持ちの方は日頃お世話になっているご住職にお尋ねになるとよいと思います。
初七日では、故人は不動明王様の前で過去の懺悔をいたします。
不動明王さま
恐ろしい形相で、右手には剣と左手には縄、背には火をまとい、片目を閉じていらっしゃる仏様です。
恐ろしい形相は、人間の心にあるたくさんの煩悩や邪悪な心をいましめる為。
右手の剣は、煩悩や悪い人間関係を断ち切る為。
左手の縄は、邪悪な心や苦しめる悪いものを縛る為。
背中の火は、外敵や心の煩悩を焼き払う為。
開いた片目は一筋に迷うものを見つめ、閉じられた目には母のような慈愛の涙がうかんでいます。
二七日では、故人はお釈迦様の前で前世の行いを懺悔します。
釈迦如来さま
紫がかった金色をしていて、三十二相・八十好種の特徴を備えておられます。
“三十二相・八十好種”とは、人相・手相・骨相や足相など三十二の気高い相と八十の美しい特徴を持っておられることです。
全てのものに慈悲の心をかけ、どのような人の懺悔でも聞き入れ改心させなければならない役目を持っておられます。
三七日では、故人は文殊菩薩様より智慧を授かります。
文殊菩薩さま
獅子に乗り、右手に剣を持ち、左手に経典を持っておられます。
右手の剣は、物事を正しく判断する知恵の力を与える為。
左手の経典は真理の聖典であり、萬物の仕組みや道理が記されております。
四七日では、普賢菩薩様が修行で得たすべてのことを故人に授けて下さります。
普賢菩薩さま
優しい顔立ちをし、白い象に乗っておられます。
白は清くけがれないことを表し、象は大きく柔らかい体をしていますが、とても辛抱強く、いつも落ち着いています。
相対するものへ清く優しい慈悲の心を持ち、辛抱強くなるようにと願っておられます。
普賢菩薩様は、施し・戒律・忍耐・精進・精神集中・智慧の獲得による修行で悟られた仏様です。
五七日では、地蔵菩薩さまに故人の苦しみを取ってもらい徳を授けていただきます。
地蔵菩薩さま
地蔵菩薩様は、私たちに大変馴染み深い“お地蔵様”のことです。
大地の蔵という意味の名で、五つの徳を持っておられます。
1.全てを平等に乗せる。
2.萬物を生み出す。
3.萬物を育てる。
4.じっと辛抱する。
5.全てを包み込む。
地蔵菩薩様の大地に蔵ですが、まるで地球そのものです。
大きな徳を持った地蔵菩薩様は、病魔や苦しみを取り、徳を与えて下さります。
また、どのような所でも参られ、全てのものを救われます。
六七日では、故人は弥勒菩薩様から慈愛の心を授かります。自分自身の悟りだけでなく、他の者も悟ることができる手助けの方法を教わります。
弥勒菩薩さま
弥勒菩薩様は、慈愛の仏様です。
お釈迦様と堅い約束をされております。
お釈迦様が涅槃に入られて(涅槃に入る:お釈迦様が亡くなられること)、五十六億七千万年後に、お釈迦様の代わりに、この世の人々の救済を誓われています。
四十九日までの法事で、これまで仏様の導きにより、懺悔し、知恵を授かり、苦しみを取って頂きました。薬師如来様は、後生が定まる前に最後の確認をしてくださいます。まだ苦しみが残っている故人には、それを取り除いて下さいます。
薬師如来さま
薬師如来様は、左手には薬壺を持ち右手には印を組んでおられます。
薬壺からは、そのものに応じた薬を取り出し与えて下さいます。
右手の印は、“施無畏の印”といい手の平を外に向け親指だけ折り曲げているものです。
これは、“あなたの不安な心や、恐怖心を取り除いてあげますよ”という印です。
こちらで紹介させていただいた内容は、数年前に調べて書き留めておいたものです。
今年、筆者の母が亡くなりましたが、四十九日までの間の七日ごとの法事を無事に済ませることができました。
父が亡くなりました際には、四十九日までの法事の意味を知りませんでしたので、七日ごとの法事をしなかったことが少し心残りです。
話は変わりますが、7年前に放送された「流星ワゴン」という西島秀俊さんが主人公をされたドラマがありました。
人生に挫折をした主人公(カズ)が死の淵をさまよっている時に、交通事故で亡くなった父子(橋本さんとケンタ)が乗った「時間を巻き戻すことができるワゴン車」が突然現れます。
人生のターニングポイントになった過去の出来事を、香川照之さん扮する絶縁状態だった大嫌いな父親の生霊(忠さん)と共に、やり直しの旅に出かけるというお話でした。
このドラマを見ていて「もしかして人は最後にこういうことがあるかも知れないな」と思いましたが、四十九日を調べているうちに、このドラマの場面を何となく思い出していました。
以前のブログでも触れましたが一周忌や三回忌などの法事は、故人の供養であると同時に遺族のための法事でもあります。
亡くなられてすぐの法事は、実は故人にとってとても大切な時間ではないかと、最近では考えるようになりました。
初七日~四十九日の法事の意味や担当されている仏様について筆者なりに聞き調べましたが、色々な解釈があると思います。
各宗派の法事についての詳しくは、菩提寺のご住職にお尋ねくださいますようお願いいたします。