東福寺龍眠庵墓地指定石材店のオフィス石太郎です。
東福寺龍眠庵では、昨年の5月より樹木葬と永久墓の受付をしています。
龍眠庵の樹木葬は永代供養のお墓ですが、長い年月の間にお墓から樹木葬へと変わる独自のスタイルを採用いたしました。
中でも樹木葬は、ハワイ在住の日本人のお宅が2件ご成約いただくなど、遠方にお住いの方々からもご支持をいただいております。
樹木葬や永久墓は、少子化によって先々が不透明な時代でも、墓じまいの心配を残さないお墓として、次世代に安心して託していただけます。
ネットで樹木葬を検索しますと、近隣の霊園や寺院の境内にある樹木葬墓地の広告が並ぶと思います。
樹木葬墓地のページを拝見しますと、区画の中央の桜の周囲にお墓が建つものや、各家のお墓の周囲を草花や芝生が囲むものなどが殆どです。
お墓の近くに木々や草花があるお墓が樹木葬というイメージが定着しているのではないかと思います。
樹木葬という呼び方が示すように、もともとは土葬や鳥葬のような埋葬方法を表す意味で新たに出来た言葉でした。
20年以上前より、各地の霊園で樹木葬墓地が増え始めたことから、本来の樹木葬を樹林葬と呼んで区別する場合もあります。
樹林葬とは?
寺院の裏山などに遺骨を埋葬してから、その場所に植樹をする埋葬方法を樹林葬(当時は樹木葬)といいます。
樹林葬の歴史は浅く、マスコミなどで徐々に少子化を取り上げるようになった頃に、樹林葬はできました。
ある寺院が行う樹林葬をテレビ番組が取り上げたことがキッカケとなり、樹林葬は世間に認知されることになりました。
筆者もリアルタイムでこの番組を見ていましたが、ご住職が説明が印象的でした。
墓石に代わって木を植えるので墓じまいなど子孫の迷惑にならない。
墓石が不要なので高額な墓石費用が不要である。
人間は最後に自然に還る。
要約しますとこのような感じのことでしたが、中でも「墓石は高い」「樹林葬は費用負担が少ない」が、繰り返し強調されていました。
筆者は、矛盾とも疑問ともいえるモヤモヤした気持ちで番組を拝見していました。
番組内の樹林葬では、より良いお供養に繋がるような工夫を全く感じなかったからです。
テレビの場合は、ご住職のお話も切り取られていると思いますので、実際にお寺に行くと印象が変わるかもしれません。
もしも番組通りでしたら、「しばらくしたら淘汰されてしまうだろう」と思いながらテレビを見ていました。
番組放映後しばらくしますと、樹木葬ブームがやってきました。
ブームの引き金になったのは、神戸聖地霊園の「樹木葬さくら」という、公園墓地の中にできた樹木葬墓地です。
お墓参りしやすい環境が整った公園墓地の中の「樹木葬さくら」は、受付開始と同時に沢山の方々が見学にお越しでした。
樹木葬「さくら」の登場によって、樹木葬は身近なお墓になりました。
その後に、各地の霊園や寺院では、新たな”お墓”として、樹木葬の受付が続いています。
「樹木葬さくら」は、他家の方々と共有する礼拝場所からお参りをする方法を採用していました。
その後に各地で出来た樹木葬の多くも、共有の礼拝場所からお参りする方法を採用しています。
東福寺龍眠庵は、京都駅からも比較的近いのですが、最寄りの東福寺駅からは徒歩6分の場所にあります。
また、龍眠庵の前にある東福寺無料駐車場をご利用いただけることから、お墓参りしていただきやすい環境です。
龍眠庵では、樹木葬墓地専用スペースに、各家の墓石や納骨室を設けました。
各家のお墓の周囲には、芝桜・桔梗・龍のヒゲなどを植栽しています。
お墓参りしやすい環境を活かして、樹木葬の中ではお墓に近いイメージにしています。
お墓参りの際は、2ケ所設けた礼拝場所からお参りしていただきます。
礼拝場所には、花筒や線香皿を用意していますので、通常のお参り同様に、お花や線香をお供え下さい。
もちろん供物のお供えも可能ですが、カラスが荒らしますので供物はお参り後にお持ち帰りいただくようお願いしています。
龍眠庵の樹木葬は、お墓の要素が多くしましたので、樹木葬と呼ぶには不完全と感じる人も多いのではないかと思います。
龍眠庵の樹木葬は、永代供養を登録していただくことで人数制限なく使用していただけます。
登録のあった最後の人を埋葬後30年が経過して、更新手続きのない場合は、ご遺骨とお地蔵様を本堂前のコケの庭に改葬させていただきます。
また、本堂前の庭には、樹齢200年以上といわれる「有楽斎つばき」や「山桜」もございます。
30年という期間につきましては、お墓参りする人がいなくなった時期を想定いたしました。
改葬後も、自由に庭にお参りしていただけますが、お花や線香のお供えはできません。
また、庭に改葬後は移動することはありませんが、本堂前の静かな環境の中でお眠りいただき樹木葬として完結いたします。
樹木葬が世間に知られるようになってから40年くらいが経つと思いますが、ずいぶんと変化してきたように思います。
公園墓地では、広い敷地を活かして周囲の環境デザインにも踏み込んだ改善に取り組んでいます。
また、街なかにある寺院の境内では、交通アクセスを活かしたお参り(お供養)の手軽さや、充実したお供養に力を入れています。
どちらの樹木葬墓地も、少子化の時代に墓じまいの心配から解放されるお墓として、沢山の方々のご支持をいただいております。