東福寺龍眠庵墓地指定石材店のオフィス石太郎です。
2005年に、京都市営墓地でのお墓の整備工事をさせていただいたお客様より、墓じまいの依頼をいただきました。
その時は、背面の斜面より土が落ちてくるのを止めるブロック塀を造ったり、墓地内がフラットになってお参りしやすいように巻石を造ったりいたしました。
お客様より、墓じまいの連絡をいただいた時は、お墓が完成して喜んでいたお客様を思い出し、何となく筆者も残念な気持ちになってしまいました。
本項では、墓じまいの意味や墓じまいを行うための準備についてまとめてみました。
この記事の内容
墓じまいの準備について
お墓を撤去して墓地を整地することを、最近では墓じまいと呼んでいます。
10年位前までは、筆者の周囲では墓石の解体撤去というストレートな表現をしていました。
墓じまいという、何となく優しい言葉に代わった頃より、急激に墓じまいをする人が増えているように感じます。
一つ目は、石材店との打ち合わせと作業の発注になります。
墓石を建てていただいた石材店でしたら、状況を把握していると思いますので、スムーズに打ち合わせをしていただけるのではないかと思います。
お住いの場所から墓地が遠方にあるなど、墓地周辺のことがよく分からない人は、墓地管理者に石材店を紹介していただくと良いと思います。
墓じまいの費用は、石材店によって様々です。
墓地と近い場所にある石材店でしたら、利便性が高いため比較的費用を抑えた見積もりをしていただけるのではないかと思います。
また、地元の石材店は、地元の風習に精通していたり、墓地近隣の寺院様との交流があります。
後で紹介する墓石の正念抜きや、遺骨の改葬の際には、的確なアドバイスをいただけるのではないかと思い石材店への依頼を1番目にしました。
墓地によっては指定石材店が決まっている場合があります。
この場合は、指定石材店以外の業者は墓じまいの作業が出来ませんのでご注意下さい。
二つ目は、仏教徒の人は、お坊さんにお墓でお経をあげていただく必要があります。
菩提寺のある方は、お寺に連絡をして墓じまいの作業を行う日までに、墓石の正念抜きをしていただきます。
正念抜きを依頼する寺院がない仏教徒の人は、墓地管理者や石材店に相談をすると良いでしょう。
また、正念抜き当日の持ち物については、事前にお坊さんまたは石材店に確認をしてください。
寺院によっては、家族が立ち会えなくても正念抜きをしていただける場合がありますので、遠方にお住いの人はご住職に相談をしてみてください。
お墓に遺骨がある方は、事前に遺骨を改葬する場所を決めておく必要があります。
遺骨を改葬する場所は、現在お墓がある墓地の合祀墓であったり、現在お住いの近くの墓所など、人によって様々です。
墓じまいをする人の多くは、お墓の承継者(後継者)問題をお持ちですので、永代供養をしていただける場所を選ぶ人が多いようです。
また、遺骨の改葬先を先に決めておかないと、次に紹介する改葬許可申請ができませんので、ご注意ください。
四つ目は、遺骨を移動する際の手続きについてです。
ご遺骨がお墓に埋葬されている場合は、改葬許可申請が必要になります。
改葬許可申請は、お墓のある所在地の役場で手続きをします。
改葬許可申請の際には、事前にお墓に誰の遺骨が残っているかを確認しておく必要があります。
お墓の中の遺骨が土に還るなどして残っていない場合については、本来は改葬許可申請は不要です。
ただし、事前に誰の遺骨が残っているかを確認できない人が大半だと思います。
火葬になってからお墓に埋葬された人を申請することができましたら問題ないと思いますが、詳細は役場の担当者から助言をいただくようにしてください。
改葬許可申請後は、役場より改葬許可証が発行されます。
改葬許可証は、遺骨を他の墓所に埋葬する際に必要な書類です。
墓じまい後に、遺骨を暫く自宅などで保管できる人は、墓じまいの作業の後に申請をしていただいても問題ありません。
また、お墓からご遺骨を引き上げるタイミングについては、墓じまいを依頼した石材店と打ち合わせをしてください。
少子化の中では、ご先祖様のお墓が、先々に粗末にならないための苦渋の決断として、墓じまいをする人が増えています。
また核家族化によって、子供への負担を心配した方々も同様に墓じまいを検討されています。
このような時代の中で、永代供養墓や樹木葬のような、少子化や核家族化の時代に対応した墓じまいの心配のないお墓が求められています。