東福寺龍眠庵墓地指定石材店のオフィス石太郎です。
昨日は、1件のお客様に永代供養墓のご予約をいただきました。
宗派をお尋ねしたところ「無宗派です」というご返答でした。
「無宗派の人は、これから法事などについて、どのように考えていけばよいのでしょうか?」というご質問をいただきました。
龍眠庵の永代供養墓や樹木葬は、宗派を問わない受付をしていますので、無宗派の人もお申込みいただけます。
「ご家族の希望ですすめてください」とお応えするのが正解なのですが、少し不親切のように思いました。
そこで、これから故人様のお供養を勤めていくご家族に、このお寺での皆様がされていることをお伝えすることにいたしました。
無宗派とは?
仏教の中の特定の宗派を信仰していない人や、法事などを依頼する特定の寺院のない人を無宗派といいます。
祖父母や父母が法事を依頼する寺院があっても、「私自身は無宗派です」と答える人もおられます。
龍眠庵は、臨済宗のお寺で、曹洞宗や黄檗宗の三宗派をまとめて禅宗と呼ぶこともあります。
筆者は臨済宗のことを、坐禅などの修行の実践を重んじる宗派のように感じています。
法事についてご住職にお聞きしたところ、至ってシンプルな法事とのことでした。
ご逝去をされた以降は、葬儀式~初七日~二七日・・・~四十九日~一周忌~三回忌~・・・三十三回忌と続きます。
その後も、五十回忌や百回忌へと法事を続けていくお家もございます。
他の宗派と同様に、生前に戒名を授与される人は少なく、葬儀式の際に授与されることが一般的になりました。
無宗派では葬儀式を行わずに、家族や縁者だけでの告別式をする人もおられます。
永代供養墓の確保を機会に、戒名を付けていただきたいと希望する人が少しずつ増えてきているように思います。
増えてきているといっても1年に数件のご依頼ですが、以前は1年に1回あるかないかでした。
戒名の授与のみを希望する人や、ご遺骨を前にしての葬儀式を希望する人もおられます。
永代供養墓を確保されますと、墓石に埋葬者記録の彫刻を希望する人がほとんどです。
文字の打ち合わせの際には、俗名での彫刻か戒名を彫刻するかを、相談させていただきます。
俗名での彫刻を希望する場合は問題ありませんが、これを機会に戒名を付けていただきたいと考える方もおられます。
その際は、職業や趣味など故人様の人生に沿った戒名を付けていただけるように、ご住職との打ち合わせをしていただいております。
無宗派の人は、これから故人様のお供養に勤めていくための具体的な方法を模索している人が多いように感じます。
龍眠庵で永代供養墓を確保された方には、ご実家が色々な宗派の人がおられますが、ほとんどが無宗派の人と同様にお寺との付き合いがありませんでした。
臨済宗では、四十九日法要(忌明け)後は、いつ納骨をされても構いません。
忌明けまで自宅で故人様を弔うことが、先人から伝わる習わしになります。
葬儀式をされなかった人の中には、ご納骨の際に骨葬や四十九日法要をされる場合もあります。
以前は、葬儀式と告別式の両方を合わせてお葬式と呼んでいました。
最近では、葬儀会館を利用したお葬式が多く、中には葬儀式をしないプランの提示もございます。
お寺との縁がないことや、お坊さんを呼ぶと金がかかるというイメージが理由かと思います。
お金とは具体的には、お坊さんに渡す御布施のことです。
「お気持ちで・・・」という言葉が定着しているように、もともと御布施は定額ではないものです。
今まで、お寺とのご縁がなかった人は、葬儀社さんにお坊さんの手配をお願いしますので、葬儀会場で初めてお逢いすることになります。
葬儀社さんが、御布施の目安額を遺族に伝えることが一般化していて、地域によって金額の上下はありますが定価になってしまっています。
「お気持ちで・・・」が、関連業者のフィルターを通ると「〇〇万円が相場だと思います」と、ほぼ定額化されているのが現状です。
ご遺族は、金額を教えていただいたスタッフに「ありがとう。何も分からないので教えていただくと助かります。」と、お礼を伝えることが多いようです。
筆者は、このような構造にとても違和感を感じていますが、お寺にも体裁がありますので、いつまでもこの構造は変わりそうにありません。
世間には、親身になって遺族の相談にのってくれる和尚さんは沢山おられるのではないかと思います。
葬儀式が、二七日や三七日のような事実上の過去の儀式になる前に構造改革できないものでしょうか。
最近では、終活に取り組む人が増えています。
予算だけをみてお葬式のプランを考えるというのは、何となくつまらないように思います。
親身になって相談にのってくれる和尚さんとの出会いが、その人にとって実り多き終活になれば、お葬式のありかたも変わってくるのではないかと思います。