東福寺龍眠庵墓地指定石材店のオフィス石太郎です。
この数年の間に、様々な霊園や寺院に樹木葬と名付けられたお墓ができました。
ここ東福寺龍眠庵でも2022年5月より樹木葬墓地「四十一菩薩」の受付をしています。
前項では、樹木葬のメリットやデメリットを紹介いたしました。
樹木葬は、お墓として認知されて間もないため、先入観や誤解からトラブルになるケースも想定されます。
先々のトラブル予防のために、我が家のお墓として相応しい樹木葬を選ぶ際の注意点を紹介させていただきます。
初期の頃の樹木葬は、お墓ではなく土葬のような埋葬する方法を表した言葉でした。
土葬では、ご遺体を埋葬した所とは別の場所に供養塔を建てて故人様のお供養をするという形が確立していました。
初めの頃は、墓石が不要で低予算での埋葬が可能というフレコミもあって、一時は世間の注目を集めました。
しかし、お墓参りの際に利便性に欠けることや、都市部での小型墓所の登場によって、山林に埋葬する樹木葬は徐々に聞かれなくなってしまいました。
都市部では、周囲に植樹をするなどした新たな樹木葬タイプの小型墓所がお客様からの支持を集めるようになりました。
このような低予算でお参り至便な都市型樹木葬が、現在の樹木葬ブームを支えています。
低予算のお墓という形で、ようやく落ち着きを見せた樹木葬墓地ですが、墓地によって使用の条件が異なります。
これから樹木葬墓地を検討される方へのアドバイスとして、トラブルを予防するために大切な事柄を紹介させていただきます。
「思っていたものと違う」というのが、トラブルになる原点ではないかと思います。
今検討をしている樹木葬とは「どのようなお墓なのか?」「我が家のお墓として相応しいのか?」を知る手掛かりとして、墓地使用規程などの規約の確認をおすすめいたします。
霊園や墓地では、墓地使用規程や管理規程などの規程を定めています。
トラブルを避けるためには、霊園や墓地が発行する規程を十分に確認しておく必要があります。
少子化や核家族化の中では、子々孫々お墓を維持することが難しくなってきました。
周囲にも墓じまいをされる人がおられるのではないかと思いますが、最近では身近な問題として意識する人が増えています。
このような背景の中で、多くの樹木葬では、あらかじめ使用期間を定めた有期間の墓地を採用しています。
有期間墓所のメリットは、期間満了後に墓地管理者による墓じまいが行われるため子孫への負担軽減があげられます。
しかし、お墓は無期限の使用できるという先入観から、有期間墓地を実感として受け入れずに申し込みをされる人がいるかも知れません。
あらかじめ定められた期間は、我が家のお墓として相応しいかどうかを十分吟味をした上での検討が必要です。
トラブルを避けるための注意点
有期間墓地では、期間をカウントするタイミングが、とても重要になります。
期間をカウントするタイミングについては2通りあります。
①墓地の使用権を取得した時点から計算。
②事前に登録された最後の人が埋葬されてから計算。
生前確保を検討している方は、①を選んでしまいますと埋葬後の使用期間が短くなってしまいます。
60歳で樹木葬を確保→85歳で逝去して埋葬→残りの使用期間5年
「30年使用できるんだ」と思って確保したお墓が、実際には5年しか使用できない計算になります。
このような人を救済する規程がある場合でも、その際には何らかの費用負担が必要になると思われます。
墓地使用権とは?
墓地の使用に必要な費用を、墓地管理者に納めることで墓地は使用することができます。
使用権取得の日付は、墓地管理者が発行する墓地使用許可証(書類の名称は様々)に記載されています。
②の場合でしたら、埋葬後30年間のお墓の使用が可能です
このタイプの樹木葬は、申込時に埋葬予定者を生前予約いたします。
後継者のおられる方は、次世代の方が十分お参りできる期間がある方が望ましいと思います。
アドバイスとして
使用期間の長さと期間を計算し始めるタイミングの双方に注意して、我が家のお墓に相応しい樹木葬墓地をご検討ください。
都市部での樹木葬墓地の多くは、価格を抑える目的もあって小型の墓所を採用しています。
そのため、納骨室の容積も墓所に合わせたものを採用しています。
このような事情により、お一人様用・ご夫婦(2名様)用・家族用(人数制限なし)など、あらかじめ埋葬できる人数を設定しています。
多くの場合は、埋葬可能な人数が増えるほど価格は上がりますが、申請の際には先々まで見越した埋葬人数を決める必要があります。
トラブルを避けるための注意点
先々のトラブルを避けるためには、まずは家族と十分な相談を重ねて、皆が納得した上での申し込みが必要になります。
特に後継者のおられる方は、慎重な判断が必要です。
後継者が、先々に両親と同じお墓を使用する可能性のある方は、納骨スペースに余裕のある家族用樹木葬をおすすめいたします。
樹木葬の多くは、永代供養と樹木葬を組み合わせたお墓として募集をしています。
また、先々の維持は不要な永代管理を採用している所も多く、永代管理のお墓では、お約束した期間内の墓地管理料の請求がありません。
このような樹木葬は、後継者への負担の軽減に繋がりますので、ご両親としては安心して託せるお墓といえるのではないでしょうか。
しかし、このような樹木葬が多いからといっても全てが同様ではありません。
中には、年間管理料などの維持費が必要なものもありますし、墓じまいの際の費用が別に必要なお墓があるかも知れません。
トラブルを避けるための注意点
チラシや広告、ネットに掲載されている情報だけでなく、墓地管理者発行の墓地使用規程や管理規程などの規約をお読みください。
中には、専門用語などが多く出てくるものもあって解り難いかも知れませんが、不明な点は納得いくまでお尋ねになることをおすすめいたします。
樹木葬墓地に限らず、使用者の都合でお墓が不要になった際には、墓地管理者への無償返還が原則の墓地がほとんどです。
これは、子孫が先祖のお墓を墓地管理者に引き取っていただいてお金に換えることを防ぐ目的で定められた規約です。
これからお墓を検討している方は、安らかに眠る場所としてお考えの方が多く、墓地を返還する際の心配はないと思います。
先々で返還を考えることになる理由としては、宗教団体への加入による改宗などの宗教上の理由くらいではないかと思います。
特に寺院の境内墓地にある樹木葬の多くは永代供養を組み合わせたお墓として募集をしています。
墓地使用規程には、法要の時期や法要を勤める場所などの記載があるのではないかと思います。
永代供養では、いつまでも故人様の供養をしていただけるイメージですが、実は内容についての一律な基準はありません。
永代供養で具体的に行っていただける内容につきましては、寺院ごとに異なりますのでご住職に確認をしていただく必要がございます。
また、樹木葬墓地を確保される方の中には、安心して相談の出来る新たな菩提寺をお探しの方も多くおられます。
まずは、ご住職との面談をしてお供養についてお尋ねいただくことをおすすめいたします。
トラブルを避けるための注意点
樹木葬の受付をしている寺院の中には宗派を問わない条件のところもあります。
このような寺院の大半は、檀家の条件もなく、墓地使用者に改宗をすすめることもありません。
ただし、ご親戚などで宗派についてのこだわりの強い人がおられる場合は要注意です。
埋葬法要などの際に、親戚間でのトラブルが起こりますと大変です。
特にご年配の親せきがおられる方は、事前に了解をとっておかれることをおすすめいたします。
今年になってから、東福寺塔頭龍眠庵墓地でも樹木葬の受付をさせていただいております。
弊社では、上記のようなポイントを踏まえた説明をさせていただいておりますので、今日までこれといった樹木葬に関するトラブルはお聞きしておりません。
これから新たに樹木葬墓地の確保を検討されている人は、ご紹介をした事柄についてもチェックをしながらお墓を選んでいただければと思います。
皆様の参考になれば幸いです。