東福寺龍眠庵墓地指定石材店のオフィス石太郎です。
昨年頃より、墓石にご戒名や死亡年月日などの彫刻のご依頼が増えています。
今日は7年前と15年前にお墓を建てさせていただいた2件のお客様からご連絡をいただくなど、今週だけでも4件のお客様より追加彫刻のご依頼をいただきました。
ご逝去されました方々には、心よりお悔やみ申し上げます。
筆者が墓石業界とご縁をいただきました32年前には、すでに彫刻作業は現地で行うことが主流になっていました。
墓石業界は分業のところが多く、弊社の場合も問屋さん・彫刻屋さん・据付職人さんと連携をしながらお墓の建立をさせていただいております。
全ての工程を自社で賄っている石材店さんもあります。
彫刻の際には、墓石にアルミの粒を吹き付けて少しずつ削っていくのですが、昔は特殊な砂を吹き付けていました。
墓石に、文字の部分をくり抜いた厚手のゴムを貼り付けて、そこにエアーを当てていきます。
文字以外のところは、厚手のゴムに守られているため削れることはありませんが、ゴムのない部分のみ削れていきます。
削れた粉が飛び散らないように、箱状の器具を使って作業をしますが、職人さんは防塵マスクを着用いたします。
車に積んだエアーコンプレッサーのエンジン音と、墓石に空気が当たるシュウワーという音はしますが、作業時には極端に大きな音は致しません。
墓地で彫刻作業ができるところは良いのですが、中に作業の出来ない場合もございます。
その際には、彫刻をする部分を据付職人さんに、彫刻屋さんの工場まで持ち帰っていただきます。
工場での彫刻作業が済みましたら、また墓地に据え付けていただきます。
墓地の立地条件にもよっては、彫刻作業料が割増しになる場合もございます。
前回のブログでも書きましたが、墓石に埋葬者様を記録しておきますと、万一将来に何世代も先の子孫の方が墓じまいをする際に助かることがあります。
墓じまいするお墓のご遺骨を改葬する際の申請手続きの資料として、大切な記録になります。
仏教徒の場合での彫刻の一般例は下記の通りになります。
ご戒名(または法名)
俗名(お名前)
死亡年月日
享年(または行年)
ご戒名のない人の場合は、俗名・死亡年月日・享年の彫刻が多いようです。
この場合の彫刻では、縦書きの方が納まりが良いので、洋型墓石の場合も縦書きをお勧めしています。
ただし、これらは決まりではありませんので彫刻の内容は自由です。
彫刻する本来の目的は子孫への継承ですので、彫刻の内容は一般例を参考にされることをお勧めいたします。
真夏の炎天下には周囲の墓石も高温になるため、とても暑い中での作業になります。
また、真冬の風の強い日は、凍りそうな中での作業ですので、職人さんには本当に頭が下がります。
実は、彫刻屋さんの世界も少子化で、後継者がおられないようです。
筆者が若い頃に世話になった馴染の彫刻屋さんも廃業されていて、墓石業界も徐々に人材不足が目立ってきました。